・憧れ

まだ彼女が幼い少女だった頃、大きな事件が起きた。

とある犯罪組織が街を飲み込み、人々を恐怖で包んでいく。

それに巻き込まれた葵を助けたのが『宇宙警察』に所属する警官達。

闇に落とされた少女を救い、希望を与えてくれたその姿はまだ幼かった彼女の心に強く焼き付いた。

『正義』の為に『悪』に立ち向かう。その心は信条として今でも葵の中に残っている。

・汚点と恋心

全く能力を持たない人間でありながら、他の能力者達に負けまいと努力に努力を重ね、宇宙警察の一員となった彼女の日々は順風満帆だった。

腕を磨き、知識を蓄え、のし上がってきた彼女の前に立ちふさがった壁がレイスだった。

部下として配属された彼の姿は葵にとって信じられないものばかりで。

正義感の欠片もなく、不真面目で、人の言う事など聞きもしない。

驚きと戸惑いばかりの毎日だった。この不出来な部下の性根を叩き直そうと必死で頑張り続けた。

そうして気が付くと……恋をしていた。

その事は彼女にとって一番の汚点であり、誰にも知られたくない『秘密』になった。

・封印された記憶

幼いころ街を襲った犯罪組織。彼等は子供達を誘拐し、施設で何やら実験をしていた。

その中に彼女も含まれていたが、まだ幼かった為なにをされているのか理解が出来ず、また今では当時の事は殆ど思い出せないらしい。